あるニュースで見たことがありますが、西アフリカリベリアから帰国したビジネスマンは、自宅に帰ってから発熱をしたということで、なんとエボラ出血熱を疑がわれました。

急遽、国立国際医療研究センターに入院検査することになりました。幸い陰性(非感染)が確認されましたが、エボラ出血熱は、発症初期の3日ぐらいはウイルスの血中濃度が低いため、仮に感染していたとしても、その時点での検査ではウイルスが検出されない場合があり得ます。

そのため、今回は、慎重を期して、その後も引き続き経過を見ましたが、幸いなことに、ウイルスは検出されず、感染していないことが判明しました。ちょうどエボラが流行していた時期だったため注目の的だったのでしょうね。

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潜伏期間は2日から3週間。

最高致死率90%のエボラ出血熱の症状はみるも無残で、末恐ろしい末路をたどります。今のところ感染後の有効なワクチンも治療もありません。対処療法をし人間のチカラで回復するしかありません。

犯人はこいつ(5種の亜種が存在します。これ以上ふえないで・・)

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体中が赤いぶつぶつで、家族でも顔も見ていられないくらいおそろしい症状になります。ペスト菌、ラッサ熱などとならび最高ランクのウイルスです。

それでは、エボラ出血熱はどのような進行過程をとるのかを見てみます。まずは、エボラウイルス保菌者との接触があり、長い場合は3週間程度もありますが、大体、1週間から10日程度の潜伏期間があります。

この期間は症状が出ていないので、検査しても陰性になる場合が多いです。

また、発症地域に滞在し、エボラウイルスに感染したかどうかの判断の一つに、38度以上の発熱状態が挙げられます。

というのも、普通見られる初期症状として、突然の発熱があるからです。それも、38度を越すぐらいの熱です。

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ウイルス感染症の初期症状はどれも同じ。

エボラ出血熱の発症は、神経、循環器、消化器系に、頭痛、倦怠感、筋肉・関節痛、嘔吐、下痢、胸部痛、そして、進行が進むと嘔吐や下痢には出血を伴う場合があります。

 

ですが、頭痛、倦怠感、筋肉・関節痛などの症状は、インフルエンザの初期症状のようにも見え、一瞬、間違えることがあります。

 

エボラ出血熱の典型的な症状。

発症患者には、発熱と頭痛は100%。腹痛、咽頭痛、筋肉・関節痛、そして胸部痛は80%。

さらに、吐血、口腔内の歯肉、鼻腔、消化器系などからの出血が70%程度で見られます。

しかしながら、2000年のウガンダでの流行の際では、どちらかというと、消化器系の症状が多く見られ、出血は10%程度にしか発現していませんでした。

すべてがそうではなくて、このような例もあるのです。

 

体内外の出血と内臓破壊。

潜伏期から発症初期を経て、その後続くのが、4~7日までの途中期です。この期間に特徴的な症状として、嘔吐、下痢、血圧低下、頭痛、貧血などが発現します。

それ以降の7日から10日までが末期症状期に入ります。症状が重症化した場合、出血傾向が顕著に見られます。

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その理由として考えられるのが、白血球や血小板の数が減ってくることです。当然そうなれば、先の下血や吐血、それに加えて、口腔内の歯肉、鼻腔などの粘膜が柔らかく、毛細血管が集中しているところからの出血症状が見られます。

中には、すべての患者ではありませんが、眼球からの出血する患者がいます。

 

それだけでなく、肝臓や腎臓の機能も低下し、体内、体外の出血が見られるようになり、多臓器不全やショック状態で意識混濁に陥り、やがて、死に至ることになります。

ショックの原因は、当然のことながら出血です。

 

このようにエボラ出血熱の症状は、出血熱性疾患のなかでも、骨、骨格筋以外の全身に拡がるため、皮膚から内臓まで、見るも無残な状態に陥ります。

デスノートのスピンオフ映画(L Change of Wordl)では、エボラとインフルの合体ウイルスによるテロ事件というお台の映画です。こんな映画にでるようなウイルスもこの先可能性としてはありえますし、日本でもアメリカなみのウイルス対策の研究施設が必要だとおもってしまいますね。